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2023年02月24日

STIの診断後にdoxyPEPを処方する方が、特定のグループを標的とするより効率的
Prescribing doxyPEP after STI diagnosis more efficient than targeting specific groups

写真
Dr Michael Traeger at CROI 2023. Photo by Roger Pebody.

CROI 2023で発表された試験によると、「リスクが高まっている」特定のグループに焦点を当てるのではなく、同性愛や両性愛男性やトランスジェンダー女性に対して、性感染症(STI)と診断された後に、ドキシサイクリンを曝露後感染予防薬として処方する(doxyPEP)ことでSTIの蔓延を減少でき、同時にこの抗生物質の服用が必要となる人数を最小限にする可能性がある。

「具体的には、我々のコホートで、STIの診断後12ヵ月間 doxyPEPを処方することで、全STIの42%を防げた可能性があると推定している」と、Harvard Medical SchoolのMichael Traeger博士は述べた。

3件の臨床試験で、同性愛や両性愛男性やトランスジェンダー女性に対して、コンドームなしの性交後72時間以内に、抗生物質であるドキシサイクリンを処方すると、STIが減少することが示されている。DoxyPEPは、これらのグループにおいて、クラミジアと梅毒の予防には比較的高い有効性を示したが、淋病の予防に対しての有効性はそれより低かった。

これまでの試験は、個人レベルでのSTIの減少は示しているが、この解析の目的は、doxyPEPの異なる処方戦略に対する反応の結果、市中感染がどのように縮小する可能性があるかを調べることだった。

研究チームは、BostonにあるLGBTQ+の人々のケアを専門としている大規模な医療センターで、2015~2020年までにケアを受けた10,500例を超える人のSTI検査データを評価した。チームは、仮説に基づいた処方戦略を適用することで、STI発生率がどのように減少したかを推定した。

コンドームなしの性交後、doxyPEPを試験群の全員が使用可能にすることで、STIの70%が防げたと考えられ、それには全員に薬を服用させる必要もあった―耐性の発現についての懸念が増加する可能性がある。

特定のグループに基づく戦略は、STI診断に基づく戦略より効率が悪く、感染を防ぐにはグループ内の割合を高める必要があった。例えば、HIV感染者全員とHIV PrEPを服用している人全員にdoxyPEPを処方すると、1年間でSTIの60%を予防できる可能性があるが、診療所のコホートの68%がこの抗生物質を服用していることになる。

STIの診断に焦点を当てる戦略では、doxyPEPを必要とする人の割合が少なくなる。もし、何らかのSTIの診断後に処方された場合、新規のSTIの42%が防げた可能性がある。過去12ヵ月間に2回のSTI診断を受けた人に処方することで、わずか14%の服用でこのグループの感染を23%防げることになる。

Traeger氏はこれらの戦略の有効性は、実臨床やより大規模な集団では異なる可能性を指摘したが、この結果は、doxyPEPの臨床処方ガイドラインの設定の際に、潜在的な有害性と利益を比較検討する方法を示唆していると主張した。

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