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2023年02月24日

スイスの研究により、インテグラーゼ阻害薬は心血管リスクを上昇させないことが判明
Swiss study finds integrase inhibitors do not raise cardiovascular risk

写真
Dr Bernard Surial at CROI 2023. Photo by Andy Carstens.

HIV感染者に対してインテグラーゼ阻害薬(INSTI)による治療の開始は、心臓発作、脳卒中、心臓手術のリスク増加にはつながらなかったことを、Swiss HIV Cohort研究のBernard Surial医師がCROI 2023で報告した。

INSTIが心血管リスクに影響を与えるかどうかという問題は不明だった。INSTIはコレステロール増加を引き起こす可能性は低いが、INSTI服用HIV感染者は、治療開始後に他の人よりも体重増加の傾向があり、心血管疾患リスクが上昇する可能性がある。これまでの研究では相反する結果が出ていた。

この新たな研究では、2008年5月以降にスイスで治療を開始したHIV感染者について、重篤な心血管イベント(脳卒中、心臓発作、または血管形成術やステント留置術などの侵襲的処置)のリスクを評価した。

研究期間中、5,362例がHIV治療を開始し、1,837例はINSTI主体のレジメン、3,525例は別の種類のレジメンであった。INSTIを開始した人の半数以上は、ドルテグラビルを投与された(53%)。残りは、ビクテグラビル(18%)、エルビテグラビル(16%)、ラルテグラビル(13%)を投与された。

INSTI主体のレジメンを開始した人の約4例に1例は、アバカビルも投与されていたのに対して、別のレジメンを開始した人では8例に1例であった。テノホビルアラフェナミド(TAF)は、INSTIを開始した人の40%が服用したが、別のレジメンを服用していた人では1%のみであった。

INSTIで開始した研究の参加者と別のクラスの薬剤で開始した研究の参加者は、大部分の点で対等であった。治療開始時の平均年齢は39歳、参加者の約半数は喫煙し、高血圧が10%、心血管疾患の既往歴1.5%であった。

非INSTIレジメンで治療を開始した人は、女性(24%、それに対してINSTI服用者11%)、およびアフリカ人(18%対11%)の割合が高かった。

中央値が4.9年の追跡調査期間中、116件の心血管イベントが発生した。人口統計学的リスク因子、HIV関連のリスク因子、心血管リスク因子調整後、研究者らは、追跡調査のどの時点においても、心血管イベントリスクに有意差を見出さなかった。

この結果を発表したSurial氏は、これより大規模な国際的コホート共同研究でこの解析結果が再現されるべきであると述べた。彼は、心血管リスクとINSTIによる治療に関する研究に存在していた可能性のあるバイアスに注目した。その1つは、薬物相互作用のリスクを減少させる目的で、併存疾患のある人をINSTIに切り替えることである。

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