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2022年11月02日

注射によるHIV治療の実際
Injectable HIV treatment in practice

写真
Dr Celia Jonsson-Oldenbüttel presenting at HIV Glasgow 2022. Image by Alan Donaldson Photography.

実証プロジェクトで注射用カボテグラビルとリルピビリン(ヨーロッパではVocabria/Rekambys、北米とオーストラリアではCabenuva)の投与を受けている患者のドイツでの早期のデータは、抗レトロウイルス療法(ART)を受けることに対する患者の不満が、6ヵ月後に半減したことを示している。この期間、参加者の89.5%は治療を継続しており、ウイルス量は50コピー未満であった。

カボテグラビル/リルピビリン投与を受けていた236名のうち2名だけに、ウイルス量が2回続けて200を超えることと定義したウイルス学的失敗があった。ウイルス学的失敗があった2名の患者のうち1名は、この試験に参加すべきではなかった。というのも、後になって分かったのだが、非核酸系逆転写酵素阻害剤(NNRTI薬)を含んだ以前のレジメンが無効であった結果、リルピビリンに対する耐性を獲得していた。しかし、もう1名については、明らかなリスク因子がなかったため、不可解である。

別の解析で、カボテグラビル/リルピビリンのウイルス学的失敗のリスク因子が明らかになった。解析には3件の臨床試験に参加した1,363名のデータが組み入れられた。現在、3年間注射を受けている参加者もいる。統合したウイルス学的失敗率は1.4%、または追跡調査100人年当たり0.54であった。

リルピビリン耐性変異の存在、HIV-1のサブタイプがA6またはA1(主にロシアおよび近隣諸国でみられる)、体格指数が高いという3つのベースライン因子が、ウイルス学的失敗の有意な予測因子であることが明らかになった。

2つの因子の組み合わせは、ウイルス学的失敗と強く関連していた(リスク因子が2つある人の19%で治療が失敗した)。ウイルス学的失敗は、リスク因子が1つの人(2.0%)やリスク因子がない人(0.4%)では、はるかに少なかった。

しかし、リルピビリン耐性を特定することは、臨床医にとっては難問である。ウイルスが抑制されている人で、耐性検査のためにウイルスRNAの配列を決定することは不可能である。プロウイルスDNAの配列を決定することは可能だが、これは高価であり、ほとんどの診療所では実施しない。唯一の選択肢は、病歴(NNRTIクラスの薬剤が以前無効であった)に頼ることだけだが、この情報がいつも入手できるわけではない。

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本記事は日本国外の治療に関するニュースであり、本邦では承認されていない薬剤あるいは本邦とは異なる効能・効果、用法・用量で使用されている成績が含まれていますので、ご注意下さい。
記載されている医薬品のご使用にあたっては、必ず各薬剤の製品添付文書をご参照下さい。

This material is based on an original copyright publication by NAM Publications, an independent HIV information charity based in the UK. Permission for this adaptation has been granted by NAM. The original publication can be viewed at www.aidsmap.com. NAM cannot be held responsible for the accuracy of the adaptation nor the local relevance of the text.

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