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2022年02月24日

広域中和抗体による治療:既存の耐性がアキレス腱となるか?
Broadly neutralising antibody treatment: is pre-existing resistance its Achilles heel?

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Dr Boris Juelg (bottom left) and Dr Marina Caskey (bottom right) at CROI 2022.

CROI 2022で、ウイルス量が抑制されていないHIV感染者に、標準的な抗レトロウイルス療法(ART)ではなく、広域中和抗体(bNAb)の組み合わせを投与した2つの早期の第Ⅰ相試験についての発表があった。

この2つの試験には、合計で10名しか組み入れられなかった。1つの試験では、ARTを受けていない参加者に3種類の抗体の組み合わせ(PGDM 1400、PGT 121、VRC07-523-LS)を投与し、もう1つの試験では、長時間作用型を2種類(10-1074-LSと3BNC117-LS)投与した。2つの試験で、参加者3名がbNAb治療のみで数ヵ月間ウイルス量が検出できない状態を維持することができた。しかし、他の6名はウイルス量が最初は減少したが、2~4週間後にベースラインの量に戻ったことが観察された。

どちらの試験でも、ウイルス学的失敗の極めて重要な予測因子は、1つ以上のbNAbにすでに耐性のあるHIVに感染していたかどうかであった。この結果は、bNAbによる治療から恩恵を得られる人を明確にするための耐性検査の必要性を示唆している。

セッション議長のJoe Eron教授は、bNAb療法の現状は、治療の有効性が耐性によって急速に損なわれることが多かった抗レトロウイルス療法の黎明期に似ているとコメントした。複数の薬剤クラスからより多くの薬剤を開発することが必要であり、同様の動きがbNAbについても必要であろう。

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