CROI2022CROI2022

2022年02月24日

長時間作用型lenacapavirは引き続き有望であることが示された
Long-acting lenacapavir shows continued promise

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Professor Samir Gupta (top right) at CROI 2022.

CROI 2022で発表された研究によると、6ヵ月ごとに使用可能な長時間作用型HIVカプシド阻害薬のlenacapavirは、抗レトロウイルス療法を初めて開始した人と、治療を何度も経験した多剤耐性ウイルス感染者の両方において良好なウイルス抑制を引き続き示した。

Lenacapavirは、ウイルスの遺伝物質を包む円錐形の殻であるHIVカプシドを破壊し、HIVのライフサイクルの複数の段階を妨げる。Lenacapavirは、既存の薬剤とは異なる作用機序を持つため、他のクラスの抗レトロウイルス薬に対する耐性を持つウイルスに対しても有効である。

第II相CALIBRATE試験では、一次治療薬としてのlenacapavirを評価している。Indiana UniversityのSamir Gupta教授は、54週目の結果をCROIで発表した:治療群1(lenacapavir注射を6ヵ月ごとに投与と、テノホビルアラフェナミドフマル酸塩剤[TAF]を連日経口投与)の90%、治療群2(lenacapavir注射を6ヵ月ごとに投与と、ビクテグラビルを連日経口投与)および治療群3(lenacapavir錠剤とTAF/エムトリシタビンを連日投与)それぞれの85%がウイルス量50未満であり、対照群(ビクテグラビル/TAF/エムトリシタビンを連日経口投与)では92%であった。

高いウイルス抑制率に加え、4つの治療群すべてにおいて同様のCD4細胞数の増加が認められ、それぞれ、206、212、220、193細胞であった。Lenacapavirによる治療は、おおむね安全で忍容性が良好であった。

第II/III相CAPELLA試験では、治療を何度も経験した患者を対象にlenacapavirを評価している。この試験には、抗レトロウイルス薬の主要な4つのクラスのうち3つのクラスの少なくとも2つの薬剤に耐性のある72名が登録された。現在、患者は抗レトロウイルス療法を受けているものの、ウイルス抑制を維持することができず、約3分の2でCD4数が200未満であった。

最初の36名の参加者が、効果のないレジメンに経口のlenacapavirを14日間追加する群、またはプラセボ群に無作為化された。次に、全員が6ヵ月ごとの皮下注射によるlenacapavirと、耐性試験に基づいて選択し最適化した基礎レジメンの提供を受けた。無作為化されなかった非盲検コホートの36名は、lenacapavirと最適化した基礎レジメンの投与を最初から受けた。14日間の経口剤導入後、注射に切り替えた。

昨年のCROIでは、最初の14日間の終了時に、lenacapavir群88%がウイルス量の少なくとも0.5 logの低下を経験したのに比べ、プラセボ群では17%であったことを研究者らは報告した。

今年のCROIでは最新結果が示された。非盲検コホートでは、26週目に81%がウイルス量50未満であった。無作為化コホートでは、52週目に83%がウイルス量50未満であった。

経時的に、CD4数が非常に少ない(50未満)患者の割合は、22%から3%に減少した。その一方で、CD4数が十分な(200以上)患者の割合は、25%から60%と着実に増加した。

これら2つの試験結果により、lenacapavirは長時間作用型薬剤の治療レジメンに使用するには有望であることが示されたが、現在、そのような長い間隔で投与可能な他の抗レトロウイルス薬はない。曝露前感染予防薬(PrEP)として年2回lenacapavirを注射する試験が現在実施されている。

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