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2022年02月18日

HIV寛解―抗体療法から4年で1名がARTなしで現在も維持
HIV remission – one person off ART four years on from antibody therapy

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Dr Ole Schmeltz Søgaard at CROI 2022.

CROI 2022で発表された研究によると、1名が抗体ベースの治療法の使用後、抗レトロウイルス療法(ART)なしで約4年間、ウイルス量が検出されない状態を維持している。

この試験で使用された広域中和抗体(bNAb)は3BNC117と呼ばれている。以前にも使用されたことはあるが、HIV感染後すぐに登録された最初の研究であり、おそらく、体内のHIV感染細胞のリザーバーを制限している可能性がある。

59名の参加者は4群に分けられた。15名はARTのみ(対照群)、15名はARTとbNAbの注射をART開始から7日後と21日後に受け、13名はARTとウイルス再活性化薬剤をART開始から10、17、24日後に受け、16名はART と2つの実験的な薬剤両方の投与を受けた。

抗体療法におけるきわめて重要な問題の1つは、抗体への耐性変異がHIVでは当然ながらよくみられることである。bNAb+ART群では、47%にbNAb に対する耐性があり、3つの治療法すべてを受けた群では37%であった。

抗体療法は、ウイルスを産生する活動的な感染CD4細胞数を直接減少させたが、抗体療法に感受性のある人では、HIVに対して感受性のあるCD8細胞の割合をかなり高めた。これらは、ウイルスに感染した細胞を完全に取り除く重要な細胞で、HIVに対する「記憶」は徐々に消えていく。

ウイルス量は、実験的治療法の1つまたは両方を受けた人の方が、ART単独より早く減少した。ART治療の400日後、参加者20名が解析により治療を中断することに同意した。ARTは12週間後に、またはウイルス量が5,000を超えるまで増加した場合はそれより早く再開された。参加者20名のうち7名が、12週間ARTを中止することができた。

参加者1名は、解析のための治療中断の継続を選び、約4年後もARTを受けていないままである。この参加者は、超高感度PCR検査で検出可能な0.2コピー/mlという非常に低いウイルス量を維持している。したがって、これは、体からすべてのHIVが消えたという意味の「治癒」とみなすことはできない。しかし、この低レベルでHIVをコントロールし続けた場合には、長期寛解、あるいは機能的治癒例と記述することができるだろう。

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