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2023年10月24日

イタリアの研究によると、BMIは糖尿病やメタボリックシンドロームを予測するのに十分である
BMI sufficient to predict diabetes or metabolic syndrome, Italian study finds

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Dr Jovana Milić presenting at EACS 2023. Photo by Roger Pebody.

HIV感染者において、体格指数(BMI)は糖尿病やメタボリックシンドローム発症のリスクを、体脂肪分布のより精密な検査と同程度に確実に予測することがイタリアの研究で明らかになり、EACS2023で発表された。

BMI(キログラムで表わした体重をメートルで表わした身長の二乗で割った値)は、糖尿病やメタボリックシンドローム(脂質異常症、グルコース濃度の上昇、高血圧、肥満のいずれか3つ)発症リスクを予測するのに使用できる。しかし、BMIは脂肪分布や筋肉がどの程度体重に寄与しているかは把握していない。臓器周辺に蓄積する内臓脂肪は、皮下脂肪よりも心疾患の発症にはるかに大きく関わっている。

体脂肪の分布と除脂肪筋肉量における民族差も、糖尿病や心血管疾患リスクが高まるBMIのレベル差に寄与している。最近の英国での研究で、南アジア系でBMIが23の人の糖尿病リスクは、白人でBMIが30の人と同じであったことが分かった。

しかし、身体組成は、DEXAスキャンやMRIでしか測定できず、これらの検査はプライマリヘルスケアや多くのHIV診療所では受けられない。イタリアのUniversity of Modena HIV Metabolic ClinicのJovana Milić医師らは、DEXAで測定した身体組成の変化が、HIV感染者の糖尿病やメタボリックシンドローム発症の予測因子としてBMIより優れているかどうかを調査した。

この研究では、1,895名の参加者(70%が男性)を中央値5.8年間追跡調査し、その間、中央値で5回のDEXAスキャン検査を受けた。

追跡調査中に219名が糖尿病を発症し(発生率1.5/100人年)、377名がメタボリックシンドロームを発症し(3.7/100人年)、417名が糖尿病またはメタボリックシンドロームの複合転帰を発症した(4.1/100人年)。

BMI、体幹脂肪、除脂肪体重、腰部の骨塩密度、内臓脂肪の変化は、それぞれ複合転帰の発症を予測した。

内臓脂肪と除脂肪体重の変化が複合転帰の最良の予測因子であることが証明されたが、BMIの変化でも予測できたことを見出した。研究者らは、DEXAスキャン検査が利用できない場合、BMIとBMIの変化で糖尿病とメタボリックシンドロームのリスクを確実に推定できると結論付けている。

しかし、この研究は参加者の民族性について報告されておらず、民族ごとの体重の変化や身体組成の変化についても解析されていないため、この研究結果がすべての状況で適用できるかは明らかではない。

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