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2023年10月30日

ウクライナのHIVサービスは回復力があるが切迫している
HIV services in Ukraine resilient but under pressure

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Olga Gvozdetska at EACS 2023.

ウクライナではHIV予防、治療およびケアを継続して行っているものの、一部のサービスの提供は滞り始めており、外部資金に依存するようになっている。

ウクライナのMinistry of Health、Public Health CenterのDeputy Director GeneralであるOlga Gvozdetska氏は、先週ポーランドのワルシャワで開催されたEACS 2023で、ウクライナの状況について説明した。Gvozdetska氏はこの会議で、「2022年2月24日以降、戦争によってすべてが変わってしまった」と述べた。

ウクライナでは、414の病院が被害を受けたか破壊され、254名の医療従事者が殺害または重傷を負った。

占領された地域でのHIVサービスの状況は不明である。政府管轄地で抗レトロウイルス療法(ART)を受けている人数は、2021年の130,000名から今年は121,000名に減少した。新たに診断された人数は2021年の16,658名から2022年には12,292名に減少し、CD4数が350未満と定義される後期診断の割合は56%から65%に増加した。

感染を知っているHIV感染者の割合や、治療を受けていてウイルス量が検出限界値未満のHIV感染者の割合は増加しているものの、ARTを受けているHIV感染者の割合は昨年の83%から今年は77%に減少した。

ウクライナではHIVに対する保健財源の保証も完全に覆されてしまったと、Gvozdetska氏は付け加えた。2021年、ウクライナのHIV予防、治療およびケアサービスが初めてウクライナ政府によって提供された。これはすぐに覆され、2022年はHIV予算の85%がGlobal FundとPEPFARから提供され、2023年には政府からHIV資金は提供されていない。

国内での移動や強制退去が、サービスが必要な場所に影響を及ぼしている。約500万人がウクライナ東部の最前線から西部の比較的安全な場所に移動しており、また多くの人々が再び海外へ移動している。

海外に住む多くのウクライナ市民はHIV治療を受けるために帰国したが、海外で治療を受ける人の数は昨年増加した。ポーランドは当初、非常に多くのウクライナ難民を受け入れていたが、現在では多くの難民がすでに移動しており、ポーランドにいる160万人のウクライナ難民は欧州全体の27%に過ぎないと推定されている。それにもかかわらず、ポーランドでHIV治療を受けるウクライナ人の数は、2022年の2,500名から今年は3,396名に増加した。その多くが以前ウクライナで治療を受けていた人であった。

また一方で、ポーランドで初めてHIVと診断される人数が現在増えてきている。Polish Scientific AIDS Societyの会長であるMiłosz Parczewski教授は、この会議で、ポーランドでHIVと診断されたウクライナ難民216名のうち70%近くが後期診断に分類され、そのうち40%がAIDS指標疾患として最もよくみられる結核を患っていたと述べた。

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