EACS2023EACS2023

2023年10月24日

パリでは減薬治療が一般的になりつつある
Reduced-drug treatment becoming common in Paris

写真
Dr Luis Sagaon-Teyssier at EACS 2023. Photo by Roger Pebody.

2022年にフランスのパリにある大規模HIVクリニックの1つで治療を受けていたHIV感染者の約半数が、2剤レジメンまたは間欠投与レジメンの抗レトロウイルス療法を受けていた。薬剤削減戦略により、2015~2022年にかけてHIV治療のコストはほぼ半減した。

この研究結果は、先週ポーランドのワルシャワで開催されたEACS 2023において、Luis Sagaon-Teyssier博士が発表した。

薬剤削減戦略は、抗HIV薬への曝露を減らすためにデザインされたものである。ドルテグラビルとラミブジン(Dovato)またはリルピビリン(Juluca)のいずれかを併用する2剤レジメンは、3剤レジメンと同程度のウイルス量の抑制が得られることが証明されている。

間欠投与レジメン(4日間投与、3日間休薬)についても調査が行われた。フランスのQUATUOR研究では、間欠投与レジメンは連日投与と同様にウイルス学的抑制を維持したが、2年後のウイルス学的失敗率がわずかに高いことが明らかとなった。しかし、先週EACS 2023で発表されたフランスの別の研究では、4日間投与、3日間休薬スケジュールの2剤療法は、ウイルス学的失敗率および薬剤耐性発現率が高いことが明らかとなった。

これらの戦略の採用、ウイルス学的抑制への影響、抗レトロウイルス療法への支出を評価するため、研究者らは2015年にパリのPitié-Salpêtrière Hospitalで治療を受けていたHIV感染者2,288名の追跡調査を行った。研究開始時には、78%が3剤療法、22%が2剤療法を受けていた。

2015年に3剤の連日投与を受けていたHIV感染者のうち、2022年までに23%が2剤の連日投与または間欠投与に切り替え、19%が3剤の間欠投与に切り替えた。

2015年に2剤の連日投与を受けていたHIV感染者のうち、60%がその投与を継続し、19%が2剤の間欠投与に切り替え、24%が3剤療法に切り替えた。

2022年までに、解析対象のHIV感染者のうち半数が減薬治療を受けていた。ウイルス量が検出限界値未満であったHIV感染者の割合に変化はみられなかった。

全体として、減薬治療戦略により薬剤費は29%減少し、間欠的投与戦略により薬剤費は58%減少した。しかし、一部は一般的に処方される薬剤である入手可能なジェネリック医薬品が増えたことで、2015~2022年にすべての治療戦略の薬剤費が減少していることに留意しなければならない。

関連サイト

本記事は日本国外の治療に関するニュースであり、本邦では承認されていない薬剤あるいは本邦とは異なる効能・効果、用法・用量で使用されている成績が含まれていますので、ご注意下さい。
記載されている医薬品のご使用にあたっては、必ず各薬剤の製品添付文書をご参照下さい。

This material is based on an original copyright publication by NAM Publications, an independent HIV information charity based in the UK. Permission for this adaptation has been granted by NAM. The original publication can be viewed at www.aidsmap.com. NAM cannot be held responsible for the accuracy of the adaptation nor the local relevance of the text.

当コンテンツは、英国を本拠地とするHIV情報の慈善団体であるNAM Publicationsの著作権に基づいて制作し、許諾を得て掲載しています。 記事原文については、www.aidsmap.comでご覧頂くことができます。なお、その情報の正確性、適用性、完全性については、NAMは一切責任を負いません。