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2023年10月24日

ロンドンのHIV感染者における治療変更の増加
Increasing treatment switches among people with HIV in London

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Mareike Günsche | www.aspect-us.com

 EACS2023で発表された研究によれば、HIV感染者は10年前と比べて2倍治療を変更している。これは、より安全な治療選択肢が利用できるようになり、患者個人のニーズに合わせた治療法が利用可能になったことを反映している。

研究チームは、2021年8月~2022年1月に治療を変更し、英国ロンドンのクリニック4箇所で治療を受けたHIV感染者10,905名に関する医療データを収集した。この期間中984の治療法が変更され、年間変更率は合計18%となった。  

10年前と同様、治療変更の主な理由は薬物不耐性であり、全治療変更件数の37%を占めた。

研究者らは各薬剤の毒性変化率も計算し、薬剤間の差が大きいことを示した。Atriplaに含まれるエファビレンツが薬剤不耐性に伴う全治療変更の4分の1を占めた。複数の錠剤単剤療法に含まれるテノホビルジソプロキシル(TDF)が23%を占め、これはおそらく別の製剤としてテノホビルアラフェナミド(TAF)が利用できるためと考えられた。ドルテグラビルはトリーメクジャルカドウベイトの成分であるが、不耐性による薬剤変更率が第3位であった(13%)。

治療変更理由の第2位は薬物相互作用であり、このコホートのすべての治療変更のうち33%を占めた。これは10年前と比較して8倍増加している。この増加はHIV感染者の多くが高齢化したことを反映していると考えられ、他の慢性疾患の治療を受けている人が増加していることを意味する。

治療の簡略化が変更理由の第3位であり、全変更の17%を占めた。最も多くみられた簡略化は、3剤療法のトリーメクから2剤療法のドウベイトへの変更であった。

治療変更の増加は、過去10年でHIV治療薬の市場に治療選択肢が急速に増えたことで説明できる。治療変更が頻繁に行われるようになったことは必ずしも懸念材料ではない。むしろ、より良い選択肢が利用可能になり、副作用や薬物相互作用を最小限にするため、臨床医とHIV感染者がさまざまな治療法に進んで挑戦していることを反映していると言える。

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