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2023年02月22日

ドキシサイクリンによるPEPはシスジェンダー女性には有効ではないと考えられる
Doxycycline PEP appears ineffective for cisgender women

写真
Dr Jenell Stewart presenting at CROI 2023. Photo by Liz Highleyman.

両性愛・同性愛男性およびトランスジェンダーの女性における性感染症(STI)の予防にきわめて有効であることが明らかなドキシサイクリンによる曝露後感染予防(doxyPEP)は、アフリカのシスジェンダーの若年女性においては予防効果がないことが今週のCROI 2023で研究者らによって報告された。

DoxyPEPとは、コンドームを使用しない性交後72時間以内に抗菌薬ドキシサイクリン200 mgを服用する。上記に報告されたDOXYVAC試験に加え、昨夏報告された 、米国で男性間性交渉者およびトランスジェンダーの女性が組み入れられた試験で、ドキシサイクリンにより細菌性STIであるクラミジア、淋病、梅毒の新規患者数が四半期あたり60%超減少したことが示された。

しかし、これまでdoxyPEPはシスジェンダーの女性を対象にした試験は行われていなかった。dPEP Kenya試験では、STI発生率が高く、抗菌薬耐性淋病の有病率が高い地域であるKisumuの若年女性を対象にdoxyPEPが評価された。

2020~2022年に実施されたこの試験では、HIVの曝露前感染予防薬(PrEP)を服用中で妊娠していない18~30歳のシスジェンダーの女性449名が組み入れられた。対象女性は、性交後にドキシサイクリンを服用する群と標準治療(3ヵ月ごとのSTI検査と診断後の治療)を受ける群に無作為に割り付けられた。対象女性は、毎週性交頻度とドキシサイクリンの使用に関する質問をテキストメッセージで受け取り、3ヵ月ごとにSTI検査を受けた。

対象女性の約60%がホルモン剤による避妊をしており、37%がトランザクション ・セックスを報告していた。ベースライン時で細菌性STIが18%に認められ、クラミジア約14%、淋病約4%、梅毒1%未満であった。

試験期間中のSTI発生率は高かった。年間発生率は27%で、高所得国の男性間性交渉者の発生率と同程度であった。しかし、ドキシサイクリンによるSTIリスクの有意な低下はみられなかった。STIの新規発症数は、ドキシサイクリン群50例、標準治療群59例であったが、この差は統計学的有意性に達しなかった。

昨夏の試験結果と今回の試験結果が「全く対照的」である理由として、発表者であるMinneapolis のHennepin Healthcare Research InstituteのJenell Stewart博士は、解剖学的相違、試験実施地域による抗菌薬耐性のばらつき、不十分なアドヒアランスを挙げている。世界中で抗菌薬耐性クラミジアの報告例はないが、本試験ではドキシサイクリン耐性淋病の頻度がきわめて高かった。

子宮頸管内の組織と尿道、直腸、および喉の組織とでは薬物濃度が異なる可能性があるとStewart氏は指摘した。しかし、同セッションで発表された別の試験から、これは十分な説明とはいえないことが示唆される。

米国疾病予防管理センター(CDC)のRichard Haaland博士は、男女のSTI曝露部位のドキシサイクリン濃度を測定する薬物動態解析を実施した。ドキシサイクリン200 mg経口投与後7日まで、参加者の血液検体と粘膜スワブを調査した。

ドキシサイクリン濃度は、腟分泌物のほうが直腸分泌物よりもピークに達するまでの期間が短かったが、血中濃度に男女間の差はなかった。直腸、膣、および子宮頸部の組織中のドキシサイクリン濃度は、クラミジアおよび梅毒は阻害に必要な最小濃度を3~4日間十分に上回っていたが、淋病はわずか2日間であった。

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