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2023年03月02日

Islatravirの実験的なインプラントは、サルをHIV様ウイルスから防御
Experimental islatravir implants protect monkeys against HIV-like virus

写真
Professor Alessandro Grattoni at CROI 2023. Photo by Roger Pebody.

CROI 2023で発表された試験結果によると、皮下に挿入するislatravir含有の小さなインプラントは、将来、HIV PrEPの長時間作用型の選択肢の1つになる可能性がある。

ある研究グループは、数年間持続する補充可能なインプラントを試験し、別のチームは生分解性のインプラントを評価した。どちらのインプラントも、メスのマカクザルをSHIV―HIVに類似したサルとヒトのハイブリッドウイルス―の膣感染を防いだ。また、補充可能なインプラントはオスザルの直腸感染を防いだ。

補充可能なインプラントは、例えば上腕の内側の皮下に挿入するようにデザインされている。補充するには、1本の針を皮膚から挿入してインプラントの第一のポートを満たし、もう1本の針でもう1つのポートから余分な液体を回収する。

TexasのHouston Methodist Research InstituteのAlessandro Grattoni教授らは、インプラントをサルの背中の皮下に挿入し、薬物濃度を経時的に測定する薬物動態試験を実施した。PrEPとして予防に必要とされる薬物濃度が20ヵ月超維持された。

次に研究者らは、この動物たちを少量のSHIVに繰り返し曝露させた。6頭のオスザルは、週1回の直腸での曝露を10回受け、6頭のメスザルは、膣での曝露を10回受けた。Islatravirをインプラントしたサルには、SHIV感染はなかったが、対照群のサルはすべて感染した。

もう1つの試験では、米国疾病管理予防センターのMichele Daly博士らが、生分解性のポリマーであるポリカプロラクトンで作られたislatravirのインプラントを評価した。Daly氏は、islatravirを同じインプラントに入れることで避妊薬と併用できる可能性があると指摘している。

6頭のメスのマカクザルに、両方の上腕の皮下に2個のインプラントを挿入した。薬物動態を5週間モニタリングした後、SHIVへの膣での曝露を週2回、6週間行った。インプラント1個を除去し、さらに5週間モニタリングし、再びSHIVに繰り返し曝露させた。

インプラントが2個あった間は、12回の曝露後、6頭のサルのうち1頭もSHIVに感染しなかった。インプラント1個を除去した後では、6頭中1頭がSHIVに感染した。

しかし、試験参加者には総リンパ球数とCD4 T細胞数の減少がみられ、islatravirの運命はまだはっきりしていない。製造元のMerck社は、低用量のislatravir経口投与による治療試験を開始し、インプラントに関する選択肢を検討中である。

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