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2023年07月27日

南アフリカ:HIV治療の中断は致命的
South Africa: dropping out of HIV care is deadly

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Dr Haroon Moolla at IAS 2023. Photo by Krishen Samuel.

南アフリカの研究によると、HIV治療を6ヵ月以上受けなかった患者は、継続的に治療を受けていた患者より研究期間内に死亡する可能性が2~3倍高いことが明らかとなった。この研究は、今週、オーストラリアのBrisbaneで開催されたIAS 2023で報告された。

University of Cape TownのHaroon Moolla博士と同僚らは、南アフリカのいくつかの大規模患者コホートから、抗レトロウイルス療法(ART)を中断し、その後再開した患者のデータを収集した。データ収集は2004年に開始し、2019年末に終了した。この研究では、治療を中断および中止したすべての患者を調査したのではなく、治療を再開した患者のみを調査した。

治療の中断は、最後にARTを受けてから治療を再開するまでの期間が180日(約6ヵ月)超と定義した。患者は、診断後最初の6ヵ月以内に治療を中断した期間が始まったグループと6ヵ月以降に治療を中断したグループに分けられた。

合計63,421名の成人HIV感染者を組み入れ、188,358人年のデータが提供された。平均年齢は33歳、3分の2以上(68%)が女性であった。ほとんどの患者(64%)は治療を中断していなかった。治療を受けた22,593名のうち、39%が診断後6ヵ月以内に初めて治療を中断した。治療を中断した期間の平均値は22.8ヵ月(約2年)で、そのうち25%が1年以内に治療を再開したが、別の25%は3年以上治療を中止していた。

研究期間中に3,585名が死亡した。ART中断後に再開した患者では、中断しなかった患者よりも死亡率が増加した。診断後6ヵ月以内に初めて中断した患者では、その後研究期間中に死亡するリスクが3.08倍であり、6ヵ月以降に初めて中断した患者では、2.47倍であった。

死亡率は、治療を中断しなかった患者では0.78%(死亡者数が128人年あたり1人)であったが、ART開始後6ヵ月以降に初めて中断した患者では1.6%(死亡者数が62.6人年あたり1人)、最初の6ヵ月以内に中断した患者では1.9%(52.6人年あたり1人)であった。

Moolla氏は、「ART中断後に再開した患者の死亡率が大幅に増加していることは、特にART開始後6ヵ月間は、治療継続のサポートを優先する必要があることを浮き彫りにしている」とコメントした。

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