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2023年07月31日

インテグラーゼ阻害薬からの切り替えでは体重増加は元に戻せない
Switches away from integrase inhibitors do not reverse weight gain, studies find

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Dr William Short presenting the DEFINE study findings at IAS 2023. Photo by Roger Pebody.

インテグラーゼ阻害薬から別のレジメンに切り替えても、体重増加を元に戻すさことはできなかったことがIAS 2023で報告された

抗レトロウイルス療法(ART)開始後の体重増加はよくみられ、これは心血管疾患や代謝障害のリスク増加と関連している。これまでの研究で、インテグラーゼ阻害薬を服用すると体重が増加することが示されているが、これは、体重増加を抑制すると思われる2つの薬剤エファビレンツやテノホビルジソプロキシルと比較されているためかどうかは不明である。

DEFINE試験では、インテグラーゼ阻害薬ベースのレジメンで治療中に10%以上の体重増加を経験したHIV感染者を対象に、ブーストしたプロテアーゼ阻害薬への切り替えの影響を調べた。

参加者は、女性30%、黒人61%、年齢中央値は45歳であった。参加者の大部分(81%)は、ビクテグラビル/テノホビルアラフェナミド/エムトリシタビン(ビクタルビ)を服用していた。体重の中央値は100 kgで、参加者は、現在のレジメンによる治療中に中央値14%の体重増加があった。

参加者は、ダルナビル/コビシスタット/テノホビルアラフェナミド/エムトリシタビンの配合錠(シムツーザ)の固定用量1日1回への切り替え(参加者53名)、または既存の治療の継続(参加者50名)に無作為化された。

24週時点で両群間に有意差はなかった。体重は切り替え群で0.63%増加し、インテグラーゼ阻害薬群で0.24%減少した。

他の2件の無作為化試験では、既存のレジメンからドラビリンとイスラトラビルの併用療法への切り替えが調べられた。

PO17では、参加者は多くのさまざまなレジメンで治療を受けていた。比較対象のレジメンにエファビレンツおよび/またはテノホビルジソプロキシルが含まれているとき、ドラビリン/イスラトラビル群の体重増加は比較対象よりは大きかったが、緩やかであった。比較対象が他のレジメンのときは、切り替え群と既存のレジメンによる治療継続群との間で、体重増加に差はなかった。

PO18で、参加者はビクタルビからドラビリン/イスラトラビルに切り替えたが、2つのレジメン間で体重増加に差はなかった。

最近、米国とEU諸国で、肥満症の人ためにGLP-1作動薬セマグルチド(ウゴービ)が承認され、ARTにより体重が増加した人の減量薬の使用に関心が集まっている。University of  the WitwatersrandのFrancois Venter教授は、HIV感染者に対するこれらの薬剤の研究を実現するためには、積極的な活動が必要になると述べた。

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本記事は日本国外の治療に関するニュースであり、本邦では承認されていない薬剤あるいは本邦とは異なる効能・効果、用法・用量で使用されている成績が含まれていますので、ご注意下さい。
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