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2023年08月02日

アドヒアランスカウンセリングにより、95%の症例でドルテグラビル投与時のウイルス量のリバウンドから回復した
Adherence counselling reverses viral rebound on dolutegravir in 95% of cases

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Dr Andrew Hill at IAS 2023. Photo by Roger Pebody.

大規模臨床試験でドルテグラビル投与時にウイルス量のリバウンドを経験した人の95%は、アドヒアランスカウンセリングによってウイルス量を再度抑制することができ、治療法を変更する必要がなかったと、University of LiverpoolのAndrew Hill博士がIAS 2023で報告した。

エファビレンツなどのNNRTI服用者が、1,000超のウイルス量のリバウンドを経験した場合、治療ガイドラインでは、別のレジメンに切り替えることを推奨している。ウイルス量のリバウンド後には、NNRTIへの耐性がすぐに発現する。

ドルテグラビルへの耐性は、それほど簡単には発現しない。世界保健機構(WHO)の指針では、アドヒアランスカウンセリングを強化し、再び抑制されるのを確認するために3ヵ月後にウイルス量の検査を繰り返すという新しい方法を推奨している。

Hill氏らは、ADVANCE試験で1,000超のウイルス量のリバウンド経験者の転帰を調べた。この試験では、南アフリカのHIV感染者1,053名を対象に、ドルテグラビルベースの2つのレジメンとエファビレンツベースのレジメンが比較された。

本研究では、最初にウイルスが抑制されるまでの期間、ウイルス量のリバウンドまでの期間、ウイルスが再び抑制されるまでの期間が比較された。ウイルス量の測定値が1回1,000超と定義されたウイルス学的失敗の発生率について、192週間の追跡調査中、両群間に有意差はなかった。

しかし、ウイルスの再抑制率は、24週目でドルテグラビル群がエファビレンツ群と比べて有意に高かった。ドルテグラビル群の88%、エファビレンツ群の46%が、24週目までにウイルス量を再度抑制した(48週目までに95%、66%)。しかし、ウイルス量のリバウンド後、エファビレンツ投与継続者の割合は少なかった。

研究者らは、今回の研究結果は、ウイルス量のリバウンドがあった人は、インテグラーゼ阻害薬耐性変異がある場合にのみドルテグラビルからの変更を推奨する、最近の南アフリカのガイドラインを裏付けると述べている。この研究結果は、ドルテグラビル服用時にアドヒアランスの問題がある場合、これらの問題に対処することで、簡単で手頃な価格の抗レトロウイルスレジメンの継続期間が確実に長くなることを示唆している。

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