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2023年07月28日

HIVの治療プログラムの一環として、高血圧治療への資金提供が必要
High blood pressure care needs to be funded as part of HIV treatment programmes

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Professor Francois Venter at IAS 2023. Photo by Roger Pebody.

University of the WitwatersrandのFrancois Venter教授は、抗レトロウイルス療法(ART)開始後に高血圧を発症することが、サハラ以南のアフリカではよくみられるが、モニタリングと低価格のジェネリック医薬品で管理できるとIAS 2023で報告した。

「大規模なHIV治療プログラムには、高血圧の診断と治療に対する支援と資金提供を含める必要がある」とVenter氏は述べた。

2つの大規模試験では、治療開始4年後、参加者の3分の1から3分の2が高血圧または境界域高血圧であった。

NAMSAL試験では、カメルーンのHIV感染者613名を対象に、テノホビルジソプロキシルフマル酸塩(TDF)およびラミブジンとの併用で、ドルテグラビル投与群、または低用量のエファビレンツ(400 mg)投与群に無作為に割り付けた。

体重増加は高血圧発症リスクを増加させ、その結果、心血管やその他の健康上の問題のリスクを高める。試験の両群の参加者で体重が増加したが、増加量はドルテグラビル群の方が多かった(192週間後に女性で9 kg、男性で7 kg)。

参加者の体重が増加すると、血圧が上昇し始めた。試験終了までに、ドルテグラビル群の収縮期血圧は10 mmHg上昇し、エファビレンツ群よりも有意に高かった。試験開始時点で高血圧であった人の割合は、両試験群で同程度であった(12%と10%)。試験終了までに、ドルテグラビル群31%、エファビレンツ群9%が高血圧となった。

ADVANCE試験では、南アフリカの1,053名を対象に、エファビレンツ(600 mg)、TDF、エムトリシタビンが、ドルテグラビル、TDF、エムトリシタビン、または、ドルテグラビル、テノホビルアラフェナミド (TAF)、エムトリシタビンと比較された。192週間後、体重が最も増加していたのは、ドルテグラビルとTAFの併用群であった(女性10 kg、男性7 kg)。

各試験群の約10%がベースライン時に高血圧の治療を受けていた。ドルテグラビルとTAF群の13%が試験中に高血圧を発症したが、ドルテグラビルとTDF群では11%、エファビレンツ群では8%であった。

血圧は、時間の経過とともに上昇したが、4年後の収縮期血圧の平均上昇は、ADVANCE試験(+2 mmHg)の方がNAMSAL試験よりも低かった。これは、診断時に規定通り治療したためであった。Venter氏は、高血圧は、南アフリカでは低価格のジェネリック医薬品で簡単に治療できると述べた。

試験開始時、かなりの割合の参加者がすでに高血圧であった(ドルテグラビル群39%、エファビレンツ群38%)。この割合は、192週目までに、ドルテグラビル群54%、エファビレンツ群47%まで増加した。

Venter氏は、予備的な解析結果は、高血圧の差は治療よりむしろ体重増加に関連することを示唆していると述べた。

しかし、学会で発表された別の研究では、ヨーロッパとオーストラリアのHIV感染者のコホートにおいて、治療中の体重増加の調整後でも、TAFとインテグラーゼ阻害薬の両方の服用者の高血圧の割合が最も高かったことが示された。

合計9,704名がこの解析に組み入れられた。39,993人年の追跡調査中に30%が高血圧を発症した。インテグラーゼ阻害薬やTAFを服用しなかった者と比べて、インテグラーゼ阻害薬とTAFの両方の服用者は、時間とともに更新した体格指数(BMI)とその他の交絡因子を調整後、高血圧の割合が48%高かった。言い換えれば、抗レトロウイルス療法の種類は、試験期間中のBMIの変化を調整した後でも、高血圧発症リスクと関連していた。

TAFを含まないインテグラーゼ阻害薬による治療、またはインテグラーゼ阻害薬を含まないTAFによる治療も、BMIの変化を調整した後、高血圧の発生率の上昇と関連していたが、インテグラーゼ阻害剤とTAFを含まない治療と比べた発生率の上昇は小さかった(TAF33%の増加、インテグラーゼ阻害薬25%の増加)。

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